
私ごとではありますが、今年は年明けそうそう、とんでもない事が起きました。我が家には飼育放棄でレスキューされたシェパードが2頭いるのですが、そのうちの1頭があやまって、透明のアルミサッシのドアに激突してしまったのです。ガラスは粉々、前足を切る大けがです。出血は止まらず、この騒ぎに驚いたもう1頭はどこかに逃げてしまいました。外は冬の嵐が吹き荒れる極寒。元旦の夜中です。動物病院の救急はどこにもなく、何軒かけても留守番電話が応答するだけです。ほどなく逃げた犬は見つかりましたが、獣医さんはなかなか見つかりません。せっぱつまって人間の救急に行ってお願いしようかと思い始めた時、見てくださる獣医さんが見つかりました。家畜専門の先生だったので、奥様が「牛のお産かと思った。」と深夜の電話にも出てくださったのです。そして車を出すのに30分以上雪かきをして地吹雪の中かけつけてくださいました。牛用の糸だから、太くてごめんね。と言いながらもしっかり傷口を縫合していただき、本当にほっとしました。人の情け、先生ご夫妻の暖かさが身にしみました。
寒い時、暖かさはごちそうです。冬の代表的な日本料理に蕪蒸しがあります。蕪蒸しを初めて食べた時、少し大げさかもしれませんが、「なんて、おいしいものがあるんだろう」と感動しました。材料でこだわりたいのは蕪です。
是非、聖護院蕪という大きな蕪を使ってください。この蕪は京都の伝統的な野菜ですが、最近は秋田県内でも作られています。皮が固いので5ミリ程度厚くむき、すりおろします。ざるにあげて水気をきり泡立てた卵白を混ぜます。さらに、適宜のきのこや銀杏、三つ葉を加え、塩を三十分して、霜ふりした魚の切り身の上にのせ、中火で10分蒸します。吸い地は少し濃いめに味をつけ、片栗粉でとろみをつけます。
わさびか切り柚子を添えてどうぞ。

秋田ではお祝い事があると、きんきんを食べます。子供の頃はお正月料理の定番でした。県外に出てはじめて、これが、全国共通のものでないのを知りました。日本料理のいろはをおえていただいたお店は金沢でした。北陸地方ではおめでたい魚の代名詞は鰤です。
結婚したばかりの板前さんが、関東が実家のお嫁さんの実家に結納品として最高級の鰤を贈ったのに、こんな生臭いものと、不評だったと、嘆いていました。ほどなく離婚してしまいましたので、お互いの食文化を認め合うのは大切なことと思います。
私も金沢に行くまでは、鰤は苦手でした。刺身で食べるなんてとんでもないと思っていたのですが、今は大好きです。特のハラ身の部分のブリトロと呼ばれているものは、マグロよりおいしいと感じます。脂は十分乗っているのですが、ほのかに酸味があり後味がすっきりしています。鰤は日本海全般で獲れますが、最高級のものは富山県の氷見でとれる氷見鰤です。10キロ以上のものがおいしく、2月いっぱい楽しめます。味もすごいのですが、さばいた時その真価がわかります。脂が十分のっているのに、その脂が手についてもけっしてベタベタしません。それどころか、ハンドクリームのように手に膜をつくります。そして驚愕なのは手の匂いをかいでも魚臭くないのです。くわず嫌いはいけません。なんでも食べてみたからこそこの素晴らしい食材と私は出会うことができました。
ご家庭では、氷見鰤を手に入れるのは難しいと思います。養殖のものは脂がきつすぎると感じる方はかつおのたたき風にしてみてはいかがでしょうか。
材料は、お刺身用の鰤の切り身、a大根おろし、小口に切った万能ねぎで.す。鰤の切り身に串打ちをして、表面を直火で軽くあぶり、余分な脂を落とします。そのまま冷まし、食べやすい大きさに切って、aと一緒に盛りつけます。わさび醤油やポン酢でどうぞ。